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龍と鳳

第3章 ぽよぽよの大冒険

んー、でもさぁ、ナニコレ?ちっちぇーなー。
まだ雛じゃねぇか。
ぽよぽよの産毛じゃん。

雄に見えるけど茶色いばかりで、濃淡はあってもあんまり華やかじゃない。
翼持つものは普通雄の方が美しいもんなのに。
これじゃ成鳥になっても、地味なんだろうなぁ。
繁殖出来んのかな?

オイラが見たままの印象を想念で送ると、神様が可笑しそうに微笑まれた気配がした。

『まぁ、見ていなさい
まだ雛だが、すぐに大人に変わる
お前はまだ遭ったことがないかもしれぬが、
それは元々この星にいる存在だ』

そう神様が仰るのに耳を傾けているうちに、ぽよぽよは早くも少しずつ姿を変えていた。

ずんぐりしていた体がだんだん細くなり、首が長くなっていく。
産毛が抜けて、羽根が生えそろって。
頭の上に冠のような長い羽根が生えてきて、尾っぽの先がどんどん長く伸びて行く。

おお。
かっけー!

『鳳雛だ』

ほうすう?

『鳳凰(ほうおう)の幼体だ
普通は海の向こう、崑崙(こんろん)にいるが……
これは星の神々に愛でられて一旦外に出ておるようだ
故郷の星に戻って
急に遅れていた成長が始まったのだろう』

おー。

面白くなってきて、じーっと見ていたら、だんだん変化が納まっていって。
そのうち変わらなくなった。

まだ、ちっちゃくね?

鳳凰って、確か羽根が炎のように赤くて、風を切って空を翔ける姿は火の鳥、って言われてる。
雄だけで繁殖する美しい霊鳥で、その卵を食べると不老不死になるっ、つって、二形(ふたなり)を持たないやつらが躍起になって探すって言うじゃん。

でも、こいつ、まだ茶色いぞ?

『ううむ』

おい、お前、人形は取れるのか?

問いかけてみると、鳳雛はムッとしたのか、一瞬ぶるっと空気を震わせてから、そのエネルギー体を凝縮して変化を始めた。

一旦小さな珠になってから、また光り出して。
やがて現れた人形は……。

やっぱ、ちっちぇーじゃねぇか(笑)。

「笑うなっ」

ほら、声もまだ甲高い。
こりゃ、成鳥じゃなくて、せいぜい若鳥。
ちゅーか、幼鳥だな。

まだ着る物は物質化出来ないらしく、すっぽんぽんのまま両手でちんこを隠してる。


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