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無人島行ってみた話

第1章 雑誌広告

ドアを開けると、安藤は入ってすぐ、

「なんや、チ〇コ臭いなぁ」と言う。

それもそうだ。今しがた、一人でピストン運動をしていたのだから。彼女がいないし、二十代なら、そのくらいのこともしとるだろう。かく言う安藤も、朝、森高千里のミニスカート写真で抜いてきたというから、そこはお互い様だ。

で、安藤はなにしに来たのかと言うと……

「昭は来週の連休はどうするん?」

「連休なぁ、とりあえず実家には帰ろうかと思ってるけど」

「どっか、海でも行って女ひっかけへん?」

「ナンパ? お前、行っても声かけへんやん」

「昭がきっかけ作ったら上手くいくやんか」

安藤が言うのは、当時バリバリにマジシャンをやっていた僕が、マジックを見せてきっかけを作ってから女の子の気を向かせるということだ。つまり、利用されていた。

「それやめてくれ。前に声かけたら、それ彼氏持ちばっかりやったやんか」

そう、その後ほんまに彼氏がやってきて、ただのパフォーマーになりきって、数人にマジックを見せただけだった。

しかも、5メートルほど離れて見ていた安藤はビビって他人のふり。

しかも、安藤が上手くいったというのは、二十代だと思って声をかけたのが、ものすごい大人びた15歳と16歳で、相手も19やら20やらとかいってたものだから、すっかりその気になって危うくお持ち帰りしかけたことがあり、たまたま居酒屋で偶然見付けた原付バイク免許で未成年だと知って、大慌てしたことがあった。

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