メランコリック・ウォール
第41章 禁断の暴露
「なんでこんな事に…」
義父は、すべてを今知ったかのように頭をかかえた。
私はそれを見逃さなかった。
「お義父さんも、気付いていましたよね?」
「え?」
「私がおしゃれして出かけたり、このお正月にも九州へ行ったり。そして、私がいない間に女の子がこの人の部屋に遊びに来ていたのも…知っていますよね?」
「それは…っ…」
「お義父さんを責めたいわけでは全くないんです。ただ…私たち夫婦の仲が破綻していたということは、一番近くで見ていたお義父さんにも認めて欲しいです。」
「……」
黙り込む義父に対し、親方が声をかけた。
「よその女がここに来たってぇ?お前それで、なんも言わなかったんか?そりゃあ、いくらなんでもアキちゃんが可哀相だろうが」
義父がうつむいたとき、オサムが言った。
「それは、CDの貸し借りをしてただけです。やましい事なんてない。」
「そうなのか?」
そう簡単に言い負かされるわけにはいかない。
それに、私の携帯に残してある”証拠”についてこの男はもう忘れてしまったのだろうか。
「そんなはずはありません。証拠もあります。女の子がこの人の部屋に来てなにをしていたか…音声が残ってます。」
「えっ?!」
最初に驚きの声を上げたのは義父だった。
「まさかそんな…お前、手ェ出したのか?!まさかそんなこと…っ!!答えろ!」
桜子ちゃんがたまに来ていることは知っていても、まさか体の関係があるなんて義父は思いもしなかった様子だった。
「なんもしてねぇって。ああもう、鬱陶しい!」
「ここまできて逆ギレ?」
私の言葉にオサムはキッと鋭い目で睨みつけた。
でももうそんなものは通用しない。なにも怖くない。
「生々しいので本当は聞かせたくありませんが…必要ならここで音声を流します。それでも認めない?」
「…。」
「オサム…お前ほんとうに手を出したのか?!信じられん…なんてことを…っ…」
義父は目頭を押さえ、親方に向かって頭を下げた。