メランコリック・ウォール
第41章 禁断の暴露
…
その日も業務は通常通り終わり、作業員たちは帰って行った。
ゆりちゃんも帰り、事務所には親方とキョウちゃんが残っている。
熱いお茶を淹れなおしても、オサムはおりてこない。
仕方ないので部屋まで呼びに行くと、いつものようにチッと舌打ちをしてしぶしぶ事務所へおりてきた。
4人でソファに腰をおろし、すぐにキョウちゃんが話し始めた。
「オサムさん。以前にも話したとおりですが、俺はアキさんに惚れてます。」
「…わざわざそんなこと言いに来たのか。」
「いいえ。これからの事を話しに来ました。」
「これからぁ?」
「俺は、アキさんと生きていきたい。オサムさんはアキさんを大切に思ってないですよね?」
「…チッ…」
「よその女性とも親密で、楽しそうにしてますよね。だったらアキさんは俺が面倒みちゃ駄目ですか?」
「なっ…。そんな簡単にいくわけねえだろう」
ここで、ずっと黙って様子を見ていた親方が口をひらいた。
「互いに外で男つくって女つくってよう。それでも別れたくないたぁ、そりゃ何でなんだよ?」
「そ、それは…。アキは、俺の嫁です。男はちっとくらい外で遊んだって、いいでしょう?」
「ああ、そりゃあ俺だって人の事は言えんからな。だけどなオサム。こいつらぁ遊びじゃないんだってよ。」
「なおさら了承できませんよ。」
多分オサムは、自分と桜子ちゃんの関係がバレていないことを察知している。
そこへ義父がひょこっと事務所へ顔を出した。
「オサムもアキちゃんもいないから、なにかと思ったら。どうした?なにかあったのか?」
親方は手招きして義父を座らせた。
「こいつにも同席させるべきだ。そうだろう?」
キョウちゃんはすぐに「はい」と答えた。
「え?なになに。どういう事だ?」
事態が把握できない様子の義父に、親方はざっくりと説明した。
義父は驚いた顔で私とキョウちゃんを交互に見たあと、オサムを見つめてため息を吐く。