メランコリック・ウォール
第43章 灼熱
「これから1週間、こんな素敵な部屋で過ごせるなんて。信じられない」
「気に入った?」
「うん、とっても…!!」
しばらく部屋を満喫したあとで、少しビーチを歩くことにした。
ヴィラを出て目の前に広がる砂浜は、ベージュ色に輝いていた。
観光客はまばらで、日本人は見当たらない。
「明日は俺がよく行ってた店に行こう。」
「うん!なんのお店?」
「牛スープ。めちゃくちゃうまい。さっきタクシーから見たら、まだ店があってさ。驚いた」
「へぇ、10年も経ってるのにすごいね!楽しみ♪」
日が沈んでから、ヴィラ近くのレストランで現地のものを食べた。
「もともとエスニック料理が好きだからかな?どれもすっごく美味しい!」
それは良かったと彼が言い、それからバリ島の空気、匂いすべてが懐かしいと微笑んだ。
…
翌日、キョウちゃんおすすめの牛スープを食べに行き、とっても美味しくておかわりまでした。
食堂は現地の人たちも多く、賑わっていた。
時々ハエが飛んでくることにキョウちゃんは私を心配したが、全く気にならなかった。
どんどん心が開かれ、開放的になっていくのが分かる。
なんて心地良いんだろう…―――。
数ある寺院を見て回り、疲れ果てて眠りについた。
…
3日目、朝シャワーを浴びると肌がヒリヒリ痛む。
「いてて…」
キャミソールの跡がくっきり残り、素肌はこんがりと焼けている。
「アキ、焼けたなぁ。あんまり焼けすぎると熱出るから、気をつけないとな」
「んぅ…キョウちゃんはもともと焼けてたから、あんまり分かんないね(笑)」
「ははっ!」
私たちが出かけている間にベッドとバスルームは完璧に掃除され、ふかふかのバスタオルが置かれる。
誰かが掃除や洗濯をしてくれるのが、こんなにありがたいなんて。
「今日はどうする?買い物でも行くか?お土産とか」
「うん!行きたい!」
レンタルしたバイクに2人で乗り、観光客向けの露店から地元のスーパーマーケットまで何軒も回った。