テキストサイズ

🏠️家庭内恋愛💕

第7章 田中コレクション


「諦めろって…ことか――――」


気がつくと外は暗くなり、下から母親の声が聞こえてきた。


「あ~…なに?今、行く」


制服を脱ぎ、居間に行くと「恭志智くん!」と、我が家に似つかわしい若い女性の声に背筋がピン!となった。


「――――あれ?ユリ子さん!?」


居間には機嫌のいい母と、昨年結婚した兄嫁のユリ子が台所で晩御飯の準備をしていた。


「遅いぞ~恭志智!」


「お、おう――――久しぶり兄ちゃん…」


台所の賑やかさに気をとられていたが、居間のソファでは兄の爽志智(そうしち)が、久しぶりの実家を満喫していた。


「あれ?今日だっけ?」


別に新居を構える二人が実家に顔を出すのは珍しいことではなかったが、今日は前々から家族会議の予定で呼び出されていた。


「そうよ、今日――――で、奮発してすき焼きにしちゃった!“肉の横道”でいい肉買っちゃった~!」


“肉の横道”と聞いて恭志智はテンションが上がる!

近くの地域密着型の商店街では珍しい高級ブランド牛を取り扱う精肉店である。


もちろん安い輸入品も扱うが、“肉の横道”は格別である!


ストーリーメニュー

TOPTOPへ