おにぎり短編集
第3章 終電
『終電で』
『帰ります』
改行して送ったのは、後ろめたさがあったから。
すぐに既読がついて、返ってくるのは一言。
『わかりました』
いつものことだと思われているのかもしれない。
既読をつけて、画面を閉じる。
わたしより年上の彼は、必要最低限のメッセージしか返さない。
大学のサークルの飲み会。
もともと参加することに乗り気でもなかった。下戸という訳でもないが、飲むなら少人数の方が好きだ。
あれよあれよと言ううちに、二次会に流され、誰かが言い出した「カラオケオール」に巻き込まれて、付き合わざるを得なくなった。