おにぎり短編集
第3章 終電
「……次から絶対こんなことにならないように、僕がお仕置してあげる」
低く呟かれた声、不意打ちで耳への口づけがされて、クチュっと、卑猥な音が耳の中に響く。
「んっ…………!!」
思わず、声が漏れてしまった。
胸の奥、体の芯が何かを期待して、ぎゅっと縮こまる。
彼がわたしの手を離しながら、ゆっくりと笑った。その色っぽい唇に、背筋がゾクゾクしてしまう。
「風呂入ってきなよ。待ってるから。そんで、風呂上がりは何も身につけちゃだめね」
「なんで……!」
「お仕置だからだよ」
そう言い残すと、彼は寝室へ消えていく。
……ずるい。
そうは思ってみたものの、この状況がつくられた原因はわたしにある。これから始まるであろうことに、体は密かに準備をしていた。
きっと拒否権はないし、拒否するつもりも……ない。
体の火照りを自覚しながら、わたしは言われたままに浴室へ直行した。
完