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戦場のマリオネット

第4章 愛慾と宿怨の夜会



 朦朧とした意識の彼方で、つと、はぐれたイリナが気になった。

 彼女の声が聞こえた気さえしたのに、私は夫人の凶器と自分の潤みとの間に糸を引いた薄赤い粘液に恍惚として、彼女の言葉のままそれを舐めた。

 その舌を、彼女のつま先に這わす。

 うっとりと微笑むチェコラス夫人の片足を、私は腹を空かせた獣のようにしゃぶり、啄み、指の一本一本まで丹念に咥えて愛撫する。


「ちゃんと私を愛してね。貴族としての愛で構わないから、次は貴女が、私を犯して」



 自ら仕える人の愛を得ること。

 それだけの名誉が、誇りが、他にあってはならないのに、終始、私は酔っている振りを装っているだけだったのだと思う。


 アレットがどこで何をしているのかよりも、イリナの声が、耳の奥から離れない。

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