
戦場のマリオネット
第5章 真実と本音
リディと違って、イリナの髪はすぐ乾いた。それより短い私の髪も、彼女はあっと言う間に拭ってくれた。
夏の陽射しの香りがするシーツに入って、私はイリナの肩を寄せた。洗い立ての匂いに抱かれた私達は、キスを交わして脚を絡めて、みるみる汗ばんでいく。
消灯しても目が慣れてくると、イリナの顔がはっきり見えた。
よそ風に揺れる花のような令嬢達とは違う、強く激しい嵐に吹かれても毅然と背を伸ばし続けるのだろうイリナは、それでいてどうしようもなく甘い蜜を秘めているのを私は知っている。
「イリナ……」
「あぁ、ラシュレ……」
彼女の歯列をこじ開けて、肉厚のざらつきを舌に絡め取りながら、手元のネグリジェを捲し上げていく。
下着をつけるのを省いていた彼女の乳房は、その柔らかさをじかに私に伝えてきた。先端にぷっくりとした弾力を乗せたそれを、ゆっくりと揉み、滑らかな斜面を撫で回す。
「あんっ……あぁ……アァッ……んん……」
舌を絡め合う私達の隙間から、ぐちゅぐちゅと唾液の音が立つ。
イリナからこぼれてくるものを吸い尽くすほどの勢いで、私はそれを啜り、彼女の味をすみずみまでまさぐろうとする。唇と歯列の間の粘膜も、舌の裏も、喉に繋がる口蓋も──…届くところは全て、余すことなく。
