
戦場のマリオネット
第5章 真実と本音
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早朝、私達は国境を越えて、コスモシザの王城を目指した。
各駐在地跡には、父の率いる増援部隊が潜んでいる。
まだ眠りの中にいた町と違って、城の守りは堅かった。警備が城壁を囲っており、等間隔に設けられた狭間の向こうも、おそらく火器を構えた兵がいる。
私はミリアムとクロヴィスを伴って裏門へ回った。残る隊員達にも、砲弾の死角に行き着くまではこちらから仕掛けないよう指示した。
「いたぞ!!」
矢庭に銃撃が私を狙った。
間髪入れず、私は兵達に銃口を向けて連射する。
弾は彼らの足を撃ち抜いていったが、ふらついても尚、銃を構える彼らの射撃を振り切って、私は草むらに小穴を見つけた。身を屈めてようやく通れるほどのそれは、リディを連れ去ってきた隊員達に聞かされていた隠し経路だ。
細道は地下への階段が続いていた。
そこを抜けると、私達は城の敷地に出た。
壮麗な城を背にした庭園が、白んだ青空の下に鮮やかな色彩を広げていた。白亜の女の像を模した噴水が、小川へせせらぎの音を重ねる。
そののどかな水音も、白刃の音が引き裂いた。
突如斬りかかってきた男の剣を受け止めて、私はそれを弾き返した。男は方角を変えて刃先を繰り出す。身をかわし、私は男に加勢してきた仲間の腕に斬り込むと、最初の男の喉を突いた。柔らかな朝日を浴びた砂道に、毒々しい斑点が散らばる。
