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戦場のマリオネット

第5章 真実と本音



「グゥッ」


 待ち構えていたのは二人ではなかった。兵は次々と増えていき、私達は包囲された。

 彼らの白刃をひっきりなしにかわして、その間にも私は遠方で銃口を構える兵達を狙う。

 号令を聞きつけた他の兵達が加勢してきた頃には、手薄になった正門から、味方の隊員達も駆けてきた。


「ラシュレ隊長、行って下さい!僕達で食い止めます!ミリアムも!」


 私は彼らに頷いて、ミリアムを連れてその場を離れた。

 城郭を警護していた兵達を捕らえて縄をかけると、敷居の一角を爆破した。

 唸るような轟音が響き、城の内部がむき出しになった。


「行くぞ」

「えっ、あ……」


 火が燃え広がらない内に、私はミリアムの腕を引いて走り込む。

 神話が題材の絵画が天井一面を覆い尽くした回廊は、豪華絢爛なシャンデリア、宝石の埋め込まれた金箔の柱が立ち並び、燦爛たる彫刻や絵画が淡い草花模様の壁を背にしている。広間へ出ると、ステンドグラスの色を映した夏の陽気が螺旋階段を照らしていた。

 私は天使の像を両脇に、上階へ向かう。

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