
戦場のマリオネット
第5章 真実と本音
予め見ておいた見取り図によると、御堂は四階の北にある。六階が王達の寝室なので、上階の警備は固いにしても、今やコスモシザの隊員は総合してチェコラスの三十分の一にも満たない。
見越した通り、私達は難なく階下へ降りた。
ややあって、御堂に年若い夫婦が見えた。
私達は彼らのあとに続く。
背後から王を捕らえた私は、鞘を抜いた剣をその首に当てた。
「陛下、王妃様、城が──…きゃぁあああっっ!!……」
ミリアムの放った銃弾が、駆けつけてきた兵士の喉を貫いた。血飛沫を上げる彼に続いた他の兵達にも銃口を向けて、彼女が凄む。
「止まれ。それともこの男のあとを追う?!」
「このっ……陛下を離せ!」
「何事……」
私はミリアムに背中を預けて、王を羽交い締めにしたまま本題を切り出す。
「コスモシザは我々の手に落ちた。城を明け渡し、王権を放棄しろ」
「くっ……しかし……」
「リディ王女なら私の屋敷にいる」
「リディは無事なの?!」
王妃が悲鳴に近い声を上げた。
ミリアムの牽制に一歩も動けなくなっている兵達を横目に確認して、私は王を解放した。彼女から署名文書を受け取った。
