
戦場のマリオネット
第5章 真実と本音
「後継者の交換は、休戦の交換条件だった。一部の者しか知らないのは、取り決めだったからだ。イリナのことは公爵様にも命じられてやっていた」
「そうか、ではリディに関しては何の弁解も出来ないか」
「違っ……」
「女神を信仰していたお前は、本来仕えるはずのリディを必要以上に気にかけていた。あの捕虜を気遣い、もてなし、励ましてやっていたんじゃないか?!」
「ぐっ」
私は革鞭を膝に食らった。続けざまに腕を、腰を背中をと、打擲は数を増すごとに加減をなくしていく。
他の二人の役人達も携えてきた凶器を構え直して、振りかざす。まるで憂さ晴らしのための獲物を睨む目をして。
「吐け!お前は異端の女神と繋がっている!リディを庇い、あの王女が今にコスモシザの再起を図るのを待っている!」
「リディはそんなことはしない!謀反など考える子じゃない、彼女はイリナの側にいたいだけの──…う"ぐっ……」
角材の端が腹に食い込んだ。
役人の一人が何かを取り出した。両端がV字になったそれは、中央にベルトが通っている。
