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戦場のマリオネット

第5章 真実と本音



「ちっ……まだすました顔をしていられるようだな」

「答えろ!お前は異端の神を信じている!イリナ様をそそのかし、リディを庇うよう仕向けたんだろう!!」


「ぐぁっ……!……して、そんなことはしてない!──…どうせ私は処刑される……チェコラスのためではなく、愛するイリナのためにな……」

「何だと」

「過激派にそそのかれて、私にリディの立場を悪くさせようとしているのはお前達だ……違うか?!」

「っ……この……」

「お前達の私怨のために、今のままではイリナがこの国で安心して暮らせない。オーキッドは、それで私を差し出した……罪の有無は関係なく。お前達がリディを疑うのは、独断だ。私に答える謂れはない……!」


 小気味良い音が空気を斬った。革鞭が私の身体を打つ。その弾みに鎖がたわみ、喉と鎖骨の肉に鉄の先端が食い込む。


 何故、リディまで庇う羽目になっているのだろう。

 イリナに守られて、彼女を手酷く虐げる私を見ても、信頼しきった目で微笑んでくることさえあったリディ。お前は彼女に生かされているのだと教えても、私に有り難うと繰り返していた。

 あの王女を守るのは、イリナだけなのに。

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