
戦場のマリオネット
第5章 真実と本音
卑しさに身の毛がよだった。
そんなことを口にすれば、私のような人間に何が分かるのか、と非難が浴びせられるだろう。しかし私は、金銭的な悩みが先立つ人間を理解出来る術を持たない。
部屋に戻ると、女達のしつこいオードトワレが染みついていた。
窓を開けて、私は寝台に身を横たえる。
枕に顔を埋めると、あの日の私達の香りがした。この香りが残っていることを確かめて、私は今日も安心する。
気が遠くなるほど甘くて優しいキスを交わした。夢みたいな言葉をたくさん囁いてくれたラシュレは、私をガラス細工でも扱うように抱いた。彼女を慕う令嬢達は、あの微笑みに、あの指に、身体の芯を熱くするのだと、私は腰を振りながら嫉妬していた。彼女がよそ見も出来なくなるほど、いつか私で満たすことが出来るなら──…と、少女のような空想が頭を掠めていったのも、夜も深まっていた分、夢うつつにいたからか。
あの夜、ラシュレは頻りと私を覚えていたいと言っていた。快楽にさらわれて、今にも気を遣りそうだった私は、あの時も憎まれ口しか叩かなかった気がする。
