テキストサイズ

戦場のマリオネット

第5章 真実と本音



「見つかれば、リディ様に危険が及びます」

「イリナが引っ張ってくれていた騎士達を、私は頼りにするつもり。自由は、誰もが平等に持つものなの。あって当たり前でなければいけない。価値観、思想、行動が制限されている状態なんて、いくら生きていても不自然ではないかしら。私には、当たり前の日々を取り戻す、コスモシザの民達にそれを返す義務がある。危険なんてとるに足りない」


 リディ様は、乗馬を嗜んでいる。馬車は準備出来なくても、馬で行けば、騎士団が身を潜めているはずの避難所まで、二時間かからないだろう。


 私はクローゼットを開けて、動きやすそうな洋服を探す。ドレスが敷き詰められた奥に、ラシュレの着ていたものがあるはずだ。


「今の私には、リディ様をお守り出来るだけの力はありません。……けれど、女神様にお祈りします。共に参ります」



 私は取り返しのつかないことをしようとしているのかも知れない。

 だが、リディ様は私の女神だ。ただただ尽くしたい。
 それだけで、私が彼女の騎士ではなかったとしても、久し振りに生きた心地が湧いてくる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ