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戦場のマリオネット

第5章 真実と本音



「追え!!」

「リディだ!くそっ……やはり……」

「撃て!!」


「リディ様!!」


 私達に続く騎兵達が、全ての銃弾に盾を向ける。

 リディは構わず走り続け、瞬く間に馬は森へ入った。


 周りが騎士団だけになると、リディから緊張した気配が抜けた。



「何をしている?!危ないって分かってるのか?!」

「イリナにも大方同じことを言われたわ。ごめんなさい、彼女も今、コスモシザにいるの」

「今度捕まったら……」


 彼女を咎めるのは違う。それでも、危険を冒してまで私を救い出したのがコスモシザの王女の務めだからだとすれば、イリナがあまりに報われない。

 リディに限って騎士団を駆り立てたりしない。そんな風に、私は彼女を見くびっていた。いつも穏やかに微笑むだけの、少女のようにあどけない彼女が軍服に身を包む姿など、想像もしなかった。


「状況はあとで説明するわ。とりあえず、どこかで代わってくれないかしら。人を乗せたことがなくて」

「言いにくいけど、君の軽さでも安全に捕まらせる保証は出来ない」

「……でしょうね。向こうに着いたら手当てするわ。頑張るから、捕まってて」



 森が深まる。

 リディに回した腕に力を込め直し、私は白いうなじにイリナに似た香りを感じた。砦でのあの日、彼女もこの軍服をまとっていたのを思い出す。







第5章 真実と本音──完──

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