
戦場のマリオネット
第6章 乙女は騎士の剣を掲げて
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資料館の開館時間が迫ったらしく、リディは今日もまたしばらく外に出られないことを告げた。そして、ここにいる全員に話があると続けた。
私はイリナと、兵士達が集う後方に寄って、リディの次の言葉を待つ。
「皆さんの中には、もう私が胸の内を明かした人もいます。ですがもう一度、今度は改めてお願いをさせて下さい。私は……リディ・ローズマリーは、チェコラスの領主、現公爵を討ちます」
「何ですって?!」
「リディ様……」
「本気ですか?!」
水を打ったように静まっていた室内が、忽ちにどよめく。
「この通り、コスモシザにはもう我々しか残っておりません。それに引き替えチェコラスは陸軍だけでも十倍以上、勝算はありません」
「リディ様、こうして女神トレムリエを崇め、ここに我々が残れただけで有り難いことです。コスモシザの跡地にいれば、生活には不自由しません。余生は静かに暮らしませんか」
騎士の正装をした者も、精鋭部隊も、誰も賛成の声を上げない。
彼らの意見は賢明だ。
ただでさえリディは、チェコラスを脱出した前科まで持った。捕まればイリナと屋敷に戻ることも難しい。
