
戦場のマリオネット
第2章 終わりなき責め苦
「向こうも歴史ある君主国ですから、少しばかり甘い条件を示したところで、衝突は想定内でした。……あ、しかし、ラシュレ様のお父上……オーキッド伯爵様は、あの騎士を絶対に殺すなと仰ったのでは」
「お考えがあるのでしょう。王女も騎士もいなくなった以上、向こうは混乱しているはずですから」
「コスモシザは、必ず手に入れましょう。おそらく私達の考えている以上に、猶予はありません」
「そうですね。公爵様直属の軍でありながら、こうも手こずっていては、面目にも関わります」
「さぁ、この話は一端やめましょう。ラシュレ様は、そろそろ敬語をやめて下さいませんか。僭越ながら、私には貴女様のお父上に深いご恩がありまして」
「立場以前に、人生の先輩じゃないですか。ブリーズさんは」
馬車が止まった。
軍人歴二十年という大柄の男は、謙虚なはにかみ笑いを浮かべて、乗降口の扉を開けた。
