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戦場のマリオネット

第2章 終わりなき責め苦



「こんな格好……」

「男に裸を見せるのは、初めて?」


 私がブリーズを瞥見すると、イリアは端然とした顔を歪めた。


「ブリーズさん。そう言ってるので、縄は貴方にお任せします」

「承知しました。この高飛車も泣いて許しを乞うほどの、みじめな格好にしてご覧に入れます」


 もっともこの大男は、私邸に戻れば愛妻家で、模範的な父親でもある。花盛りの女体を目の当たりにしていても、息遣いさえ正常だ。

 しかしブリーズはこれ見よがしな手つきでイリナの乳房や尻を触り、器用に縄を這わせていく。

 彼は、まずイリナの胸の上下に縄を巻きつけていき、膨らみの中央に別の縄をかけて後方へ回し、乳房が突き出る形状にした。それから片方の腕を屈曲させると、手をうなじへ持っていき、手首と二の腕に短めの縄を巻きつける。もう一方は、手首をさっき尾てい骨まで回した縄に固定する。イリナの手首は、うなじと腰の上下に離れた。彼曰く、手首を固定する縄だけあえてたるませておくと、徐々に痺れが迫るという。


「座るな!!」


 イリナがその場にくずおれかけると、彼女の腹に、ブリーズの平手打ちが飛んだ。


 バシィィィッッ…………


 潔いほどの音が響いたのに、剣術にも長けた男の手のひらの方は、同じ衝撃を受けた腹と違って、僅かな赤みも浮かばない。

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