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戦場のマリオネット

第8章 救済を受けた姫君は喉を切り裂く【番外編】



「ん……ふ、ぁッ、んんっ……」


 狭小な面積にしてはふっくらとした彼女の唇を啄んで、上下に開く。覗いた歯列の向こうに見える舌を誘う。

 力が抜けて重みを増したアレットを、背から支えた。そして私は、上体に残る最後の下着の金具を外す片手間に、彼女の口内を犯す。唇同士で戯れて、距離を失くしては離れ、また触れては舌でも唇でもじゃれ合う内に、彼女の息に淫らな声音が混ざり出した。


「メイドが、入ってこないかしら……」
 
「そっち行こっか。きっとすごいことになってるここ、いくらメイドでも見ちゃいけない」

「ァッ……ん、……」


 パニエの上から尻を撫でると、アレットがひくんと背中をたわめた。


 近親間での淫らごとに、このチェコラスは寛容だ。功利結婚が半ば義務づけられた貴族達は、選択権を埋め合わせるようにして、ゆきずりの火遊びや不義の恋愛を謳歌する。アレットと私の関係も、社交界では周知の事実だ。

 もとより私達には惹かれ合うだけの根拠があった。

 寝台に移るとパニエまで脱ぎ捨てたアレットは、恥じらうような演技を続けて、私にすり寄ってきた。私は彼女に再三のキスを押しつけて、露出したばかりの乳房を揉む。先ほどまで下着の中で行儀良く盛り上がっていた白い肉が、私の手の中でたぷたぷと踊る。尖った部分が手のひらの一点を刺激してくる。その愛おしさが、私に気の遠くなるような感覚を与えて、こじ開けた彼女の口内で、舌まで貪欲さを増す。

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