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戦場のマリオネット

第2章 終わりなき責め苦








 縄からの充血が肉にも広がり始めたイリナの身体に、高温の蝋が垂れ落ちていく。拷問向きに調整された蝋燭は、温度自体は苦痛を与える程度だそうだが、ミリアムが蝋を垂らしていった大部分は、茶色く変色していた。


「心配いりません。収容所で働く知人によると、最近この蝋燭を使った囚人も、死刑当日にはほぼ完治していたようですから」


 のんびりと構えたブレーズが、白い模様のキャンバスになるイリナを見つめて呟いた。


「やめて……やめてぇ……」



 リディにとりあう気配も見せず、ミリアムは最後にイリナのクリトリスに蝋を垂らすと、固まりきるまで時間を置いた。

 思いのほかイリナが苦しまなかったのが退屈だったのか、時折、ブリーズはそそられもしない女体を打ったりつねったりして暇を持て余している。女に肉体的な関心のないミリアムは、ただ、この状況でイリナの割れ目に新たな湿り気が這い出していることを罵って、匂いが苦手だと顔を顰める。


「ミリアム、熱くない?」

「私は平気です」


「日没までに、私を従わせるって言ったわね。ど……う……、これでもまだ出来るって言う?」

「この女っ……!」

「無駄よ。リディ様に見限られても、どんな目に遭っても、私は女神トレムリエを信仰する」


「どんな目に遭っても、ねぇ……」


 今にも泣き出しそうなリディとは対照的に、つとミリアムの顔を見ると、彼女は笑いを堪えていた。

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