
戦場のマリオネット
第2章 終わりなき責め苦
ミリアムが手にしたのは長いニードルだ。注射針よりは太いそれは、昼間、私が持たせておいたものだ。
「チェコラスには、痛みの耐性をつける訓練をしない軍人もいるの。特にラシュレ様のような武術に長けたご家系の出なら、やられる前にやれるでしょう。私もむやみに身体を傷つけたくなかったから、多分こういうもので貫かれたら、気を失う」
「何が……言いたいの……」
「お前はどうかしら」
「やめて!お願い、私が代わりに……!」
この小さな身体がどこにそんな熱量を備えていたのかと思うほどの力で、リディが私の腕を振りきらんと暴れる。私は彼女を必死に抑えて、ミリアムに早くと促す。
ブツッッ…………ズプ……
「ぐぅっ!!」
鋭いものが肉を貫いた音が放たれ、数秒と経たない内に、イリナのあばらに赤い雨垂れがしたたっていた。
乳房の深い位置を貫通したニードルは、その長さで、彼女の胸を串刺しにしていた。
「気絶はしない、か。根性だけは感心するわ」
「…………」
「でも、本当に降参しないなら、どうせお前にとっては役にも立たないこの肉塊、切り取ることも出来るのよ」
穢らわしいものでも扱う手つきで、ミリアムがイリナの乳房を撫で回す。
そして彼女はクリトリスの蝋が固まったことを確認すると、鈍器に埋もれていた竹鞭を持ち出した。
