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戦場のマリオネット

第2章 終わりなき責め苦



「離して……ラシュレ様……許可は出します……イリナを改宗させて下さい……」

「イリナを置いて、国へ帰る?」

「いいえ、私は一緒にいる。私が黙ってさえいれば、イリナは私の騎士でいてくれる……。大臣達にも、親にも黙っています」


 私の言うことなら信じてもらえる、と、疑いや裏切りを見たこともないような目に確信を宿らせて、リディはこうも続ける。


「どんな神様も、人の心まで自由に出来ない。コスモシザの女神もキリストも、同じです。信仰されていれば存在出来るし、信じられていなければ、いくら形式にこだわったって、そこに神様はいません」

「カトリックの洗礼が、無意味だと?」

「貴女は、分かっているはず」

「…………」


 落ち着き払ったリディの声。


「やれ」


 私はミリアムに指示を出す。

 彼女は竹鞭を振りかざし、それをイリナに手加減なく打ちつけた。

 パシィィッッ……と、竹鞭が柔らかな肉を攻撃し、蝋がはらはら落ちていく。肩や胸、腕や腰、腹を這う白い模様を、ミリアムはかざしては振り下ろす鞭の殴打だけで剥がしていく。ほとんど感情を放り出しているイリナに代わって、リディが制止を懇願する。


 バシィッ…………


 ピシッッ…………


 胸からも尻からも出血しているイリナの裸体が縄に揺られて鞭に打たれて、石台に横たわっていた時の白さは名残もない。

 乳房を押し上げる縄まで染まり出した時、複数の足音が騒々しく降りてきた。

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