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戦場のマリオネット

第2章 終わりなき責め苦



「仲間の血で死にたいか」

「命など……惜しくはないと……!」

「お前の無様な汚い顔を、王女に見せられなくて残念だった」

「ぐぁっ!!」


 私が鳩尾を殴打すると、男は吐きそうな顔をしてのたうち回った。


 武器の強奪、戦意を削ぐだけでは引き下がらせることが出来ない。
 騎士団の武装ではない戦士らもいるが、コスモシザは、末端の隊員達でも王家への忠誠が生半可ではないのだろう。つと顔を向けた先で、胴と脚を繋ぐものが皮一枚になった兵士が、女神の名前を叫びながら、心臓に弾を受けていた。


「あの女です……!イリナ様に……っ」

「あいつか、覚悟……」


「ラシュレ隊長!!」


 白くまばゆい塊が、私に飛びかかってきた。


 近すぎる銃声が耳に響く。


「あぅっ」

「ミリアム!?」


「ミリアム!!」


 地面に身体が打ちつけられたのより、私を押し倒した力の方が大きかったと思う。

 私にしなだれかかるミリアムの肩に、赤い窪みがシミを広げていた。


 事態に気づいた隊員達が、射撃の兵士を割り出すと、一斉に突撃していった。

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