
戦場のマリオネット
第2章 終わりなき責め苦
それから夫人は、私を本当にリディ様の元へ誘導した。
塔の上階に並んだ部屋は、小窓のある風通しの良いところもあって、リディ様が囚われているのもそういう場所だった。壁には私の見慣れたドレスの他に、何着か動きやすそうな衣装も吊られていた。
「リディ様……」
「イリナっ?!」
リディ様は起きていた。錠の開く音が立つと、彼女は本から顔を上げた。
「夜更かしはいけないと、よく叱られていたのに……見つかっちゃったわ。昼間眠っていたら、目が冴えて」
「お身体は、いかがですか。こんな寒い場所に……」
「この通りです。イリナこそ、私……」
この世の全てのまばゆいものを集めてきた結晶とも思えるリディの手が、私の腕に柔らかな力を加える。久し振りに感じた、彼女の指先の重みだ。
徹底して肌を隠すドレスを素直に着用してきたのは、正しかったかも知れない。
こんな格好で再会したところで、私がリディ様に見せたものが夢だったと偽れることはないにしても、あの日、私のために悲しんでくれた彼女をまた見なくて済む。
