
戦場のマリオネット
第2章 終わりなき責め苦
リディ様に会えたらと、この数日、何度、思いを巡らせたことか。思いの限り、いや、どれだけ伝えても足りない愛情を声が涸れるまで口にして、跪いて懺悔して、彼女の可憐な唇に、私を罵ってくれるよう請いたかった。
いざ会えば、想いが溢れて言葉が出ない。リディ様がそこにいる。彼女を感じ取れる私がいる。
無意味に死を待つだけだと諦めた自分が、恥ずかしくなった。この敵地に王女一人を残すくらいなら、私はみじめに這いつくばって、最後まで彼女のために在り続ける。
「キスして下さい、イリナ」
月明かりを浴びたリディは、妖艶ともとれる微笑みで私を見上げる。
私は彼女の頬に指を添えて、もう触れることも出来ないと諦念していた彼女の唇を塞ぐ。幻のように柔らかな唇が私に生気を送り込んでくる。二枚の花びらを啄んで、角度を変えてまたキスして、彼女から同じことが施されてくると、私はうっとりとその手を握る。
唇同士の触れ合いは、コスモシザでは儀礼的な意味合いもある。
私はリディ様のものになれない。唇をとろかす媚薬が腰の奥深くに甘い波紋を広げても、私達を結ぶのは、女神の下に許された、精神的な愛だけだ。
