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戦場のマリオネット

第3章 懐柔という支配


 秘めやかな肉の重なりを覆った粘液が、ぬちゃぬちゃと私にまとわりつく。ビクン、ビクビクッ……と、細い足が、操り糸に蹂躙された人形のようにたわむ。

 割れ目に繋がる小さな豆粒を指に撫でて吸いつくと、アレットがいっそう切なそうに背を撓らせた。


 彼女に触れて感じていると、本来あるべきものを失くしている、私の中の長い空虚が満たされていくのが分かった。彼女に触れた部分から、浄化されていく。彼女から出たものを飲み下した内側から、救われていく心地がした。

 指を沈めることを躊躇ったのは、本当に彼女が欲しくなってしまう気がしたからだったと思う。

 少女というサナギにくるまれていたはずのアレットは、驚くほど私をすんなり受け入れた。彼女が一瞬力んだ頃には、私の中指の半分以上はその蜜壺を貫いていた。


「痛い?」

「分からない……でも幸せ……」

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