
戦場のマリオネット
第4章 愛慾と宿怨の夜会
公爵に解放された私達は、親しい貴族達との歓談や食事を楽しむことにした。
私が一人になるのを遠目に待っていたらしい令嬢達が、よそゆきの愛嬌を向けながら、長いドレスの裾をつまんで滑るように駆け寄ってきた。
「ご機嫌麗しゅう、ラシュレ様。私達、貴女をお誘いするまでは、どなたに声をかけられても固くお断り申し上げていましたの」
「こんばんは。今夜もなんてお美しいの……!私、今夜はラシュレ様と過ごしたくて、さっき私に島をプレゼントして下さるという殿方がいらしたのですけれど、辞退して参りましたわ」
「貴族でも自由にさせてもらっている女の方達がお見合いに身が入らないのは、ラシュレ様が原因だって、ご婦人がたが噂なさっていました。ラシュレ様より素敵な方なんて滅多にお見かけしませんし、当然ですわね」
「こんばんは、お嬢さん達。こんなに美しく可愛らしい貴女達を待たせてしまうなんて、私は世界一贅沢者です」
手近な令嬢の片手をとって、私はその指先に唇で触れた。
果実の弾けるような声が上がる。
続いて私は、彼女の隣で両手を胸に組んでいた令嬢の腰を抱く。痩せたね、とささめくと、貴女への恋煩いのせいですと答える彼女。
