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戦場のマリオネット

第4章 愛慾と宿怨の夜会



「さっきチェコラス公爵夫人とお話してきましたわ。いつものごとく、離宮も解放して下さっているのですって。私達も早く行かなくては、寛げるお部屋がなくなってしまう」

「そうね、貴女は寛ぐだけになさい。……ラシュレ様?そういうことですから、私と離宮へ──」


 令嬢の一人が私に腕を絡めてきて、初夏のナイトドレスに強調された乳房を惜しげもなく擦りつけてくる。

 いつもならとりどりのプティガトーでも味わう具合に彼女らと頽廃した時間を貪る私は、アレットが気にかかっていた。

 人見知りの妹がどこかで眩暈を起こしているといけないから、と、半ば嘘を織り交ぜて、私は令嬢達の輪を抜けた。


 すれ違うメイド達にアレットらを見かけなかったかと訊きながら、急ぎ足で庭園へ向かった私は、植え込みに隠れた屋根つきベンチに二人を見つけた。


「アレット嬢。今宵の夜会は、家柄の良い紳士淑女が羽目を外す場所でもあると聞いています。貴女もそのようなお遊びはお好みですか」

「私はあまり……」

「では、私と共に朝を迎えましょう。私も華やかすぎる場は不慣れですが、生涯を共に過ごす女性とは、遊びでなく真剣にお付き合いしたい所存です」

「ロラン侯爵……っ、いけません……」

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