
戦場のマリオネット
第4章 愛慾と宿怨の夜会
「お許しを……」
「トレムリエを涜神して、このローズマリー王朝廃止の賛成文書に署名しろ。チェコラス公爵様が王になった暁には、宗教税などという馬鹿げた金の徴収はなくなって、貴様らにとっても悪い話じゃないぞ?」
「待ってくれ、せめて妻が買い出しから戻ってから相談を……」
「隊長、どうされますか」
私は男の身柄を放し、子供二人を逆さ吊りにするようクロヴィスに命じた。
「他のコスモシザ人には即答を求めている。家族揃って検討出来ないのは気の毒だが、お前達を特別扱いしては不公平だ。奥方が戻ってくるまで、彼らにペナルティを与える」
ロープで両腕を封じられた少年達が、軒先の大木に吊り上げられた。すぐに頭に血が昇った兄弟達は泣き出して、その様子に老女が涙ぐんで祈り出すと、ミリアムが彼女の肩を剣の鞘で殴打した。
「トレムリエに祈るな!サタンと呼べ!」
結局、四人は女の帰りを待たないで、トレムリエの偽絵に火をつけた。
少年を大木から下ろして、軒先に四人を整列させた私達は、城に向かって女神を貶めるためのあらゆる言葉を叫ばせた。喉が涸れて声が出なくなってきたと言い出す者には水を与えて、それでも覇気が戻らなければ、王家の偽絵を与えて放尿させる。拒めば、子供は捕縛、成人は殺害することになっていた。
