
戦場のマリオネット
第4章 愛慾と宿怨の夜会
「コスモシザの女を連れてきましたわ」
「彼女に見覚えがおありでしょう。イリナ・アイビー。騎士団のリーダーです。この女のせいで私達の受けた屈辱、被害、思い知らせてやりましょう」
「おのれ、よくも甥に怪我を負わせよって……」
はっきりと分かる彼らの悪意が、私を雁字搦めにする。
チェコラスには、コスモシザへの侵攻に否定的な国民達も一定数いると聞く。そうでなくても砦の襲撃を発端に、戦は貴族達にも打撃を与えた。先に仕掛けたのはチェコラス軍でも、彼らの怒りの矛先は、主に私へ向いていた。
「この戦が貴方がたの不利益を生んだなら、確かに私にも責任はあります。すみませんでした」
「謝って済むか!」
「もっと分かるように、反省していただきたいわ」
「あの、この方達は……」
私は後方の婦人達に振り返る。
煌びやかな社交場で猫を被っていた彼女達はいなかった。そこにいたのは、感情のない目で私を見下ろす女達。…………
婦人の一人が、後方から私の手首を掴んだ。腰を上げかけた私のドレスを、別の婦人のパンプスの先が縫いとめる。
ファスナーの下りる音が立つ。もがいてもまた別の婦人の手が伸びてきて、筋力まで僅かに衰えていたらしい私はみるみる衣装を剥ぎ取られていく。
下着姿になった私に、ソファにかけた複数の男女が、卑下た笑いを浮かべていた。
