
戦場のマリオネット
第4章 愛慾と宿怨の夜会
「あの時の無念、後悔が、今の彼らを向上させてきたのではないでしょうか。コスモシザの落城は、私一人では到底不可能です。しかしあれだけの民達に女神や王室を見限らせて、軍隊を弱体化させた今日までの彼らを信じています。最後まで共にやり遂げてくれると」
「ラシュレ……本当?」
「あの国を公爵様に進上すること、この作戦の遂行に優る正しさなど、私達には考えられませんから」
本当のところ、最善など分からない。
ただアレットを信じるしかない。独りよがりで構わない。
彼女のためにコスモシザを落とす。
そう誓った一年前の、あの時の思いを確かに持っていなければ、今にも何かが崩れそうになる。
「チェコラスの貴族は、本当によく尽くしてくれます。特に貴女のご生家は。もう一度聞かせて。貴女は、この国をどれだけ想って下さっている?」
「生涯を懸けて、尽くしたいと思っております」
「例えば、この国のためなら命も下さる?」
「公爵様や貴女にお仕えしている貴族達は、皆そのように思っております」
