
戦場のマリオネット
第4章 愛慾と宿怨の夜会
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一つのグラスで辛めのシャンパンを飲み交わしながら、私はチェコラス公爵夫人と舌を絡めて、顔中にキスを散りばめ合った。それから、もつれ合うようにしてシーツに寝転がり込んだ。
血色を増した唇が、私のおとがいに吸いついて、喉に至る。首筋との間を行ったり来たりしながら、夫人は時折、甘噛みした。
シャンパンに含まれていた微量の薬が、私達の酩酊を深めていく。
夫人は私の唇に喉の渇いた蝶のように吸いついて、何度目かの舌をこじ入れながら、フリルが多めの白いブラウスをはだいていく。アレットにも見せることのほとんどない私の身体が露わになると、下着越しに指が触れてきた。
「従軍している人とは思えない。くすみ一つない肌なんて、貴女のようなのを指すのね」
「……あまり、見ないで下さい」
「良いじゃない。貴女は凛々しくて、年頃のお嬢さんがたの中には、貴女に皇子様を求めていいらっしゃる人もいるようだけれど……」
「っ、……」
「女の性に、違和感はないでしょう?」
夫人の優美な指先が、私の下着を外しにかかる。
自分を防禦するものが呆気なく剥ぎ落とされていく心許なさを、以前も私はここで感じたことがある。
