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そして愛へ

第1章 そして愛へ

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 愛してもらったあと、わたし、
 「進さん。これから、いつも精をもらいたい」
 「かおりさん。それでいいの?」
 「うん。わたし、進さんの赤ちゃんが欲しいの」
 「でも、あまり遠くないうちに、私はいなくなるよ」
 「悲しいけど、それは考えます。もしもそうなったとき、大好きな進さんが、わたしに授けてくれた赤ちゃんがいてくれたら、進さんの分身だと思って、愛してあげます。一人でも大切に育てることができます。
  それに、大学の図書館司書は、公立だから公務員でしょう。一人で育てることになっても、権利体制がしっかりしているから大丈夫よ。
  わたしね。いままでは、進さんに優しくセックスをしてもらって、気持ちよくなるのが嬉しかったの。
  ううん、いまも気持ちよくしてもらうのは、嬉しいのよ。ほんとに嬉しいの。
  いまは、進さんに、愛してもらっているのが嬉しいの。
  わたしも、進さんを愛しています。愛している進さんの赤ちゃんが欲しいの。
  でもね、進さんの赤ちゃんも欲しいけど、それよりも、進さんに、ずっと元気でいてほしい。
  わたし、進さんがいなくなると思っただけで、悲しくて泣いちゃうときがあるの」
 わたし、そう言っている途中から泣いてしまって、進さんにしがみつきました。進さんが、優しく抱いてくれまして、
 「かおりさん。ありがとう。嬉しいよ。でもね就職して仕事を覚えなければならないときに、妊娠してたらつらいんじゃないかな」
 「それはあるかもしれないね」
 「だったら、私たちがはじめてセックスをした、つまり実質的な結婚をした十月を記念して、来年の十月になったら、かおりさん。私の精を受け取ってください」
 「嬉しい。そんなふうに思ってくれるんですね。ほんとに嬉しい。わたし、泣きたくなるほど嬉しいです」
 「そんなに喜んでもらえて、私こそ嬉しいよ」
 「嬉しい。来年の十月という目標ができた」
 「それまでなら、私は元気でいると思うよ」
 「よし。じゃあ、まずは来年の十月に、進さんの精をもらって赤ちゃんを授けてもらうのを目標にしましょう。
  そして、それからも進さんがずっと元気でいるように、健康計画をはじめましょう」
 「えっ」

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