テキストサイズ

みせてあげるね。

第1章 上司


「飲んでる?」

職場での飲み会でひとり隅の方で飲んでいた私に声をかけてくれたのは上司の小谷亮(こたにりょう)さんだ。

「あ、うん。美味しく飲んでるよ」

上司といっても入社時期はさほど変わらない私達は敬語を使わず話すことも多い。彼は隣にドカッと座ると

「次、何に飲む?」

メニューをみせてきた。数分前から私のコップに何も入っていないことに気がついていたのだろうか。

「じゃあ、ビールで」
「おっけー」

何気ない気遣いにドキドキしてしまうが、彼とは上司と部下。これだからモテない女子は、と私は心の中でつぶやき小さく首を振り、手元に届いたビールをぐぐっと飲む。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ