テキストサイズ

がーるず・らぶ 里美と結の場合(R18)

第13章 結の過去



「結……話してくれてありがとう」


 私の上で微睡んで(まどろんで)いる彼女を優しく抱きしめる。


 そんなふうに好きになってくれた。
そして、こんな今の私を、まだ好きでいてくれる。


そんな彼女がとても愛おしくて。
ただ、ただ、抱きしめたかった。


「……私……騙されたとはいえ、不輪なんかして、汚れちゃったわ。
あの頃みたいな輝きはもう無いのだけれど・・・
ほんとうに、私で良かったのかな?」

正直言って
今の私には本当に何も無い。

 社会人になってから築いた、OLとして働いたプライドも、覚えた仕事内容も、身に付けたはずの大人としてのたしなみも。今ではゴミ以下…役にも立たないモノばかりだ。

「センパイ……そんな事、もう気にしないで……」

 タオルケットの中で、もそもそと私から降りて私の左側に身体を横たえた結が、私の左手を両手で優しく握りしめる。
 彼女の温もりに、私が包まれたような……
そんな感覚がそこにあった。


「私だって……
流されてAV女優デビューしちゃったんですから。
それにくらべたら先輩のはマシな方かも」


・・・え?
な、なに?今の単語……

結に一番似つかわしくない言葉が、今、彼女から出てきた気がして。
私は彼女を見つめた。


「私…………モデルやりたいって思って。父の仕事の都合で東京に行ってすぐ、
小さな芸能事務所のオーディションを受けたんです」

「あれ?あの雑誌のモデルじゃ……?」

 あの女子校での騒ぎがあった、あの元凶雑誌……あそこへ行ったんじゃなかったんだ……。

「あそこは、お誘いしたのにすぐに了承しなかった私を快く思わなかったみたいで……代わりにその事務所を薦められて」


・・・出た。社会の縮図あるある!
気に入らない事があると急に冷たくなるアレね。

「その事務所にはすぐに受かったんですけど……すぐにそこの社長が夜逃げして。
…で、残されたスタッフや私達芸能人の卵は、借金の肩にされちゃったんです」


…………ひどい。
よくありがちなパターンだけど、本当に酷い話。

それでAVに出させられるなんで……。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ