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がーるず・らぶ 里美と結の場合(R18)

第13章 結の過去


「……でも、不幸中の幸いというか……
初めは確かに地獄に落とされたかと思ったんですけど。
新しく社長になった自称元ヤクザの人が凄く変わった人で」

そう言うと結はくすくすと笑った。


「……変わった人?」

元ヤクザなら、色々怖そうな感じだけど……なぜ、思い出しながら笑える??


「その人…ジェンダーレス、つまり……」


オカマさんかいっ?!

「しかも、何か物凄く前向きで、本気でその芸能事務所立て直そうと躍起になってて……みんなつられて元気でヤル気になってました」


・・・は、はあ。

今、私の頭の中のに……
 遠くを見つめ、彼方を指差し、数人の裸の方々が、オカマ社長を中心に笑いながら肩を組む……
変な映像が過ぎって行った。


「小さな芸能事務所が、手っ取り早く借金を返し、働くスタッフや私達を養う方法が、AVのDVD制作だったから……」

このまま話すと、ひとつの作品が出来ちゃうくらい長くなるのでまとめると……。


 その社長は、とっても社員を大切にしてて、AV女優活動する時は必ず女優さんに泣きながら謝ってくれたらしい。

 報酬も、出来高だけど、相場より良い手当てが払わられ、アフターケアーも、オカマさんならではのキメの細かさで素晴らしかったらしく。だれも、会社を辞めなかったんだそうで。

 ビデオの裏流しや、不正を徹底的に嫌い、社員一致団結して、借金返済を完了した時は…皆で草津へ慰安旅行へ行って嬉し泣きしたそうな……。

 借金返済後は、徐々に普通の芸能活動も仕事が来るようになって、まさに逆転劇を成功させた、AV意外は素晴らしい展開を体験した結は……。



「社長がね、私に、グラビアデビューの話を持って来てくれた時……言ったんです。
私の中に、

《心に決めた人》

がいるんでしょ?って。

 この仕事が始まったら、私の成功する可能性がある事は保証出来るけど、そしたら忙しくなって……
 いつかきっと、

《自分の心を殺さなきゃならなくなる時》

が必ずくる。
それでも、この仕事続けたい?って聞かれて……」



凄い。凄過ぎだなぁ、そのオカマ社長!
人を見る目、ありすぎじゃん!!

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