
がーるず・らぶ 里美と結の場合(R18)
第13章 結の過去
「私、先輩をもう一度見て、自分の気持ちを確認したくて。
それで、一人でこちらへ帰ってきたんです。
そうしたら先輩は、落ち込んでいて……」
「びっくりしたんじゃない?私、結にそんな姿なんて見せた事無いから」
ほとんど部屋から出ない、引きこもりの私なんて・・・
そんな状態の私なんて、だれにも見られたく無かったし。ましてや結になんて……
「ショックでした。私を変えてくれた人が…先輩が、落ち込んでいるなんて。
だから、決心したんです。
今度は、私が先輩を助けるんだって!
だから、帰って芸能事務所に戻って、社長に理由を話して、正式に辞めさせてもらいました」
・・・それで……
ひとりで帰って来たの?
私のために?
……兄貴に頭を下げ
株式会社コリ・アンダーに入社して?
……もしかして、兄貴を焚き付けて
私を立ち直らせようと……した、の?
「…結……あなた…馬鹿だよ……」
こんな、なんの変哲も無い
救いようの無い、失敗して、落ち込んで
自己完結して、ヤケになっていた
ただのあばずれ女のために?
そこまでしてくれて・・・
胸が……熱い。
目頭が熱くなる。
私なんかより、ずっと、もっと、苦労して
なのに、こんなにまっすぐに……
私の事を想ってくれて
ただ、私が好きって、だけで・・・
「ばか……ばかぁ・・・」
ぽろぽろと涙が溢れ出して、止まらない。
私……人前でこんなふうに泣くのって、
結の前で、が、初めてかもしれない。
「……大丈夫。先輩がいるだけで。
先輩の側にいるだけで
私は本当に幸せなんですから……」
幸せなのは私の方だ。
こうして、結に抱かれながら感激して泣いていられるなんて。
私は、そのまま
結の胸の中で
しばらく幸せに浸りながら泣き続けた。
