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ぼっち─選択はあなたと共に─

第1章 彼女の選択

「君はそれで……いいのかい?」

 白い壁に囲まれた部屋のテーブルの席に座って、久遠(くおん)は向かいの席に座っている人物へと呼びかけた。

「はい、私はここでヒカルとして生きていきます」

 そうはっきりと答えたのは、高校の制服を着た黒い髪の少女だった。少女の外見は、双子の妹のヒカルと全く同じだった。

「ヒカリとしてではなく?」

 名前を呼ばれた少女は頷く。

「だって、説明するのもめんどくさいじゃないですか……私がヒカルの双子の姉だなんて」
「君が望めば、新たな世界に生まれ変わることだってできるんだよ」

 久遠はそう言うが、ヒカリは頭を横に振る。

「会いたい人たちがいるんです。だからあの世界じゃないとダメなんです」

 ヒカリは今まで出会った仲間たちのことを思い出していた。

「私、死んでからずっとヒカルと一緒に生きてきました。ヒカルはずっとひとりぼっちだって思ってたみたいだけど、どんなに呼びかけても私の声はヒカルには届かなくて……ずっと寂しかった。でもこの世界に来て、いろんな人と出会って、私も生きたいって思ったんです。私が生きられるのはここしかないって」

 ヒカリの魂は、ヒカルの肉体の中でヒカルと共に成長してきたようだ。
 しかし久遠が開発した装置によって、肉体からヒカリの魂が剥がされたのである。


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