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まこな★マギカ

第15章 第九ノニ章


「えっ、和子さんなんですか、話し――って?」いきなりの事でもちろん見当も付かなかった。俺は和子に訊きながらテーブルを左に回り、その隣に行った。「――じゃあ、お隣失礼します」

隣に着いてソファーに腰をおろすと、和子がすぐに訊ねてきた。「ちょっと変な事聞いちゃうんだけれども――ゆうきちゃんって、最近なにかおかしな事が身の周りに起こったり、巻き込まれたりしなかった?」

「えっ――」戸惑いながら和子に訊いていた。「どう言う事ですか、『おかしな事』って?」

「うぅん――そうねぇ……」そこで和子は考え込む――珍しく思い詰めたような顔をして、そのうち俺を見て話し始めた。「――わたしもこんな感じは初めてだから、正直なところ、まだなんとも言えないんだけれどもね……。例えば、なにかゆうきちゃんの身に良くない事がおきたり、だとか。あとは、普段なら起きないような――」

「いえ……」俺は思わずそうこたえていた。おそらく、それはまこなに対しての後ろめたい気持ちからだったろう、そう思う。「別に、特には変わった事はなかったですけど――ここ最近」

「ふぅうん、そう……。それならいいんだけれども……」と言いながらも、どこか和子は釈然としない様子だった。そしてそれからふと思い出した様子で言った。「あ、ごめんなさいね、ゆうきちゃん――なんだか変な事聞いちゃって……」

「いえ、全然平気ですよ」俺は和子に軽く微笑んでこたえた。「――でも、なんでいきなりそんな事を聞いてきたんですか?」

「うん、ちょっとね……。ゆうきちゃんを見てたら、なんとなくそんな感じがしたのよね。さっきは気のせいかな、って思っていたんだけれども、今はなんだかそれが増してるような気がして……」和子はいまだにどこか納得出来ていない様子だった。「まあ、でもたまに全然外れたりもするんだから……。それに、決して悪い事ばかりでもないのよ――今さらなんだけれども、だからあまり気にしないでね」和子はそう言って、強引に笑顔を見せた。

「全然、平気ですよ――俺、鈍感な“たち”なんで、そう言うの……」俺はこたえてからふと思いついた。「あっ――でも、もし、そんなような事があったら、その時は相談させてもらえませんか?」この先、万が一の事を考えての事だった。ひょっとしたら、まこなに関して何か手がかりが掴めるかもしれない、そう思ったからだ。

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