先輩!彼氏にしてください!
第8章 危険人物
「………こんなにほのか先輩のことを愛しているのは…僕だけですよ、先輩」
「っ…………」
もう何度も何度もこうやって想いはぶつけられてきた。
だから慣れているはずなのに、あんまり真剣な顔をして甘く囁くもんだから、トクンと心臓が跳ねる。
答えに困って、立ち尽くしていると私の手を握っている谷川くんの手をまたさらに上から新先輩は掴んだ。
「あ、新先輩……?」
「………それって、俺への挑発?」
私の事を見つめていた谷川くんは、そのまま新先輩に視線を移す。
それと一緒に、私も傍にいる新先輩に視線を移すと、先輩は言葉とは裏腹ニコニコと笑っていた。
「………僕はただ、好きな人に好きって伝えただけです」
「ふーん、そっか」
適当な様子で軽くそう言ってのけた新先輩は、微笑んだまま今度は私のことを見る。
昔からこの輝かしい笑顔は変わらない。
でもそれでいて、いつも考えている事がよく分からない。
「ほのか」
「は、はい」
「俺も、好き」
「はい。……って、え!?!?」
これまた突然の先輩の言葉に私は、一瞬飲み込みかけて声を上げる。
「あれ? 聞こえなかった?」
「い、いや、聞こえてました、けどっ……」
「あー。よかった。そういう事だから、彼女になってよ」
いや…軽。
嘘でしょ。流石にからかっているようにしか思えないんだけど…