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先輩!彼氏にしてください!

第1章 彼氏にしてください!




「嬉しいっ……しかも、堪能…だなんてっ…」


「………た、にかわ、くん」


「これね、実はほのか先輩をイメージして描いたんです」



描いたって、この大きな、本当になんか、色々と『すごい』絵を……



「谷川くんが……これ描いたの……?」


「え……?」



さっきまで緩んでいた口元がスッと元に戻る。


相変わらず前髪で目が見えないからどんな表情をしているのかは分からなくて、それもそれでイライラする。



「描いたの…?って、見に来てくれたんじゃないんですか…?」


「違う……たまたまクラスの男の子にここの掃除押し付けられて……そしたらこの絵があって…」


「………………」


「なんか……『すごかった』から…見惚れて───うぐぅっ…!」



その次の瞬間、苦しいほどに突然抱きつかれて、私は変な声を漏らす。

最悪だ。


いつも気付いたらそこにいて、よく分からないことを言ってくるだけでここまで接触してくることはなかったのに、今日はとてもまずい。


しかも今、この美術室には私と谷川くんの2人しかいない。


身の危険を感じた私はジタバタと暴れるけども、谷川くんの力が強すぎて全然びくともしない。



「先輩っ……僕ホント今幸せです」


「ちょっ……調子に…っ…乗るなっ…」


「この部屋に導かれて…そして僕の絵を見つけて、『見惚れた』だなんて」


「っ……くるっ…しぃ」


「運命ですよねっ…これって…!」



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