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先輩!彼氏にしてください!

第9章 青春の文化祭



腕をさすりながらひょろひょろとした背中を、眺める。


ハッとした時には、谷川くんがさっきの男を追いついて、腕を掴んで振り向かせていた。



「撤回しろ」



「は? なんだてめぇ」



「ほのか先輩がブスなわけないだろ!!!!!」




大きな声で叫び出した谷川くんに、その男も、谷川くんを囲っていたはずの女の子たちも口をあんぐりさせている。




「ほのか先輩ほどかわいくて…綺麗で…神秘的で…強くて…すべてを兼ね備えた人がいると思ってんのか!!」


「い、いてぇよっ……」


「いいから撤回しろ!!!!」



痛い!!!と叫ぶ男はもう一方の手で谷川くんの腕を叩いている。



「分かったっ…わかった!撤回するから!離してくれ!」



「………二度とほのか先輩に『ブス』って言うな。て、いうか、触るな、話しかけるな。見るのも禁止」




その言葉と共に谷川くんは男を解放する。


すると、男はそそくさとその場から逃げるようにして走り去っていった。



「──────────…」



後ろ姿でも分かるほど殺気立っている谷川くんに、もはや誰も近付こうとしない。


くるりと振り返った谷川くんが、私のことを目を逸らさずにじっと見つめてきたので、何故なのか、うるうるときて私の方から目を逸らした。




「っ……先輩!? 大丈夫ですか? 怪我は」



駆け寄ってきた谷川くんが先程男に掴まれた私の腕を優しく掴む。



「赤くなってる……痛いですか?」


「──────……っ」



久々に至近距離で見た谷川くんを初めて、イケメンだとかかわいいとかではなく、かっこいいと感じた。



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