先輩!彼氏にしてください!
第9章 青春の文化祭
押し黙る先輩を見ながら、僕はハハハと乾いた笑いをする。
やっぱり聞き間違い…だよな。
怒られる前に、誤魔化そうとして頭に手をやった僕は「そんな訳ないか」と言葉を添える。
すると、しばらく黙ったほのか先輩は、僕のシャツをギュッと掴んだまままた真っ赤な顔を僕に向けた。
「聞き間違いじゃないっ…!!」
「───────……」
「好きだって言ってんの!!!!」
突然叫び出したほのか先輩が僕の腕をすり抜けようとするのを僕は瞬時に阻む。
そしてキツく抱き締めると、ほのか先輩は「暑い!!」と叫んだ。
まさに今夢みたいな事が起こっている。
いや、ていうか、夢……?
そんなことより、さっきは『好きかも』って言ったように聞こえたのに、今度は『好き』ってはっきりと……
ドドドドドドと、勢いよく心臓が高鳴っている。
キツく抱き締めているせいできっとほのか先輩にもそれが伝わってしまっているだろうけど止められるはずもなく……
「ねぇっ……暑いってばっ…!」
「………好きって言いましたよねっ……? 僕のことを、ほのか先輩が」
一つ一つ言葉を噛み締めるように確かめる。
すると、ジタバタしていたほのか先輩が力を抜いたのが分かった。