先輩!彼氏にしてください!
第9章 青春の文化祭
「そうじゃなくて……っ…ほのか先輩の気持ちがよく分からなかったからっ……」
「なにそれ」
「だって、キモチワルイだとか何だとか言うくせに、僕のこと跳ね除けたりしないし……むしろ抱きついたりキスしてきたりするし…っ……」
頭を抱える谷川くんを見ながら、うっと言葉を飲む。
矛盾だらけだったのは紛れもなく私の方で……
絶対に好きにならないと豪語していたにも関わらず、結局好きになっちゃうし。
意味が分からないのは私の方なのでは、とか色々とぐるぐる考えていたら、谷川くんはお得意の子犬のような目で私のことを見つめてきた。
「ほのか先輩といるとどうしても惑わされて……さらに、暴走しそうで……っ…。そしたらいつか本当にほのか先輩に嫌われちゃうかもしれないしって思って、ちょっと先輩から離れてたんです……」
今更では……
十分すぎるほど暴走しているように見えたけど、谷川くんの暴走はあんなもんじゃなかったってことだろうか。
「………でも、そんなの気にする必要なかったんですねっ…」
キラキラとした笑みを見せる谷川くんにゾワりと背筋が凍る。
嫌な予感ってやつだ。
「だって、ほのか先輩は僕のこと好きなわけだから、思わせぶりって思ってた先輩の行動は全部本気だったわけで……。好きだから僕のこと拒否しなかったってことですし」
「ちょ、ちょっと落ち着いて」
「ていうか、僕がそばにいなくて寂しかったって言いました??? はぁやばい…かわいすぎる…なにそれっ…」
ペラペラと好き勝手に話し出した谷川くんを私は顔を引き攣らせながら眺めていた。