先輩!彼氏にしてください!
第1章 彼氏にしてください!
谷川くんの額に手を触れると谷川くんは「ふぅぁっ…」と変な声を上げた。
「……ちょっと…先輩やめてくださいっ…」
嫌がる谷川くんは少し新鮮だ。
ザマァみろだ。
てか、前髪あげるくらい別にそんなに嫌がらなくてもいいんじゃ、と思う。
どうせ、その前髪の下は意外と綺麗な顔立ちが隠れていて…というお決まりな少女漫画的展開が…─────
「────────………」
谷川くんの前髪を上げた私はその下の谷川くんの潤んだ瞳に目を奪われ、言葉を失った。
大きな瞳は、色素が薄い。
これは…何色と言ったらいいんだろうか。
見たこともないような薄いエメラルドのような…
でも、その中には向日葵のような柄が見えて、とにかく綺麗で………
「出たよ……少女漫画的展開…」
「………ほのか先輩…?」
この子は…なぜこんなに綺麗な瞳を隠しているんだろうか。
「……この綺麗すぎる目のせいでいじめられた?」
「え?」
「んでもって、そのいじめが結構ひどくて、耐えきれずに転校した?」
じっと目を見つめながら、考えられる少女漫画的あらすじを話すと谷川くんはギュッと目を瞑った。
まずい、あんまり思い出したくないことを私はズケズケと聞いてしまっただろうか。
「あ、ごめん、あんまり言いたくなかったら────」
「───── そんな見つめないでくださいっ…」
「え?」
首を傾げると、谷川くんまたその綺麗な瞳を躊躇い方にゆっくりと開いた。