先輩!彼氏にしてください!
第1章 彼氏にしてください!
「直接のほのか先輩…刺激が強い……」
「ナニソレ」
人の顔を何かイカガワシイもののような言い方しないでいただきたい。
「てか、さっきから先輩何言ってるんですかっ……?」
「え?」
「普通に親父の仕事の都合で転校してきただけですよ」
谷川くんの言葉でパラパラと私の考えついたシナリオが崩れていく。
「じゃあ、なんでそんな前髪長いの?」
「眩しいのと……あと単純に切るのめんどくさくて」
「なーにそれ!!」
谷川くんの額から手を離した私は、腕を組む。
この子は別に前いじめられてた可哀想な美少年というわけではないらしい。
「あのさ……どうせキモチワルイんだから、見た目くらい普通にしなよ」
「ど、どうせキモチワルイ……」
「そんなに綺麗な顔立ちで……特にそんな綺麗な目してるのに、隠すのもったいないじゃん」
「………っ………」
「見た目モサくてキモチワルイ変人より、美少年なキモチワルイ変人の方がいいんじゃないの、って言ってんの」
うう…と唸った谷川くんは胸に手を当てている。
ちょっと言いすぎた?
いや、むしろ控えめに言ってあげてるでしょ。
「それって褒めてます? 貶してます?」
「別にどっちでもない」
私の返しに立ち上がった谷川くんは、また突然に私の手をギュッと握った。
「ちょっ…おすわりって言ったでしょ────」
「───── ほのか先輩は、前髪が短い方が、好み、ですか?」