先輩!彼氏にしてください!
第2章 ギトギト青春ライフ
その翌日から、さらに私の周りが騒がしくなった。
まぁ…自業自得なのかも知れない。
お昼休み、麻理と食堂に向かうと、谷川くんはまるでどこかのモデルかのような出立ちでやってきて、私の隣に座った。
「すごいね、後輩くん、本当はイケメンだったんだ!」
「…………そんなことないですよ」
いつも麻理にはそっけなく、『どうも』っていうだけだったのが、途端に態度を変えて笑顔で謙遜している。
私の言った通り、前髪を切って髪型をサッパリさせ、さらには明るい人間になるべくその美しい顔で笑顔を振りまくように努力しているんだろう。
「…………かっこいー…」
うっとりしてる麻理を私は目を細めて見つめた。
周りも『なにあのイケメン!』とばかりにキャッキャしている。
ホント、人間ってわかりやすい。
「麻理、騙されないで、いくら顔が良くたってこの子はあのキモチワルイ谷川くんだからね」
「ひ、ひどいなぁ…。ちゃんとタイプの男になるからそんな言い方しないでください」
「かわいいー……。じゃあこれも、ほのかのためなんだね」
コクリと頷いた谷川くんは、ハッとした顔をすると持っていた包みを私に差し出した。
「……なに、これ」
「お約束の、お弁当です!」
お約束、とは?
全く約束なんかした覚えないのだけど…
えーっとと言いながら、谷川くんが開いたお弁当の中身を見て、私も麻理は「うえっ!?」と声をあげた。